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■ビートルズ解説No.3 ビートルズ本書評

 このページは私が所有している「ビートルズ本」のご紹介と書評のページです。
 これからビートルズの研究をする方々のお役に立てば幸いです。
 これから新しい本を読むたびに内容がどんどん膨らんで行きますので,また来てくださいね。

■ビートルズ解説No.3 ビートルズ本書評
書  名 著 者 名

分野 価格

(税抜き)

         感     想          お薦め度
1

「THE BEATLES LYRICS」

Lennon-McCartney Futura Books 詩集 1.25ポンド  洋書ペイパーバック。

 ビートルズの歌詞をちょっと調べるときに便利だが,ところどころに明らかな歌詞の間違いが見られるのは残念。しかしこの程度の純粋な歌詞集は今やインターネット上に山ほどあるので,そちらを見たほうが便利。
*
2

「ビートルズ詩集」(1)(2)

片岡義男訳


詩集 (1)17版\340 (2)13版\300  無色透明な訳を目指すと言う片岡氏の意図は分からないでもないが,余りにも奇妙な訳文が多く閉口する。初心者には不向き。 *
3

「レノン=マッカートニー
 明日への転調」

マルコム=ドーニー著

パンプキン=エディターズ訳




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伝記

初版

\1200

 何の変哲もない「伝記」だが,レノン=マッカートニーの“曲創り”にスポットを当てた分だけ面白みがある。読んで損はない。 **
4

「ビートルズ」

ハンター=ディヴィズ

伝記 増補版版
\3990
 最も基本的な“公式”伝記。絶対押さえておきたいエピソードが満載されているので,ファン必読。ただし,“公式”であるがゆえの弱みだが,メンバーに都合の悪いことは余りかかれていない。

増補版版 (1987/09)発行

*****
5

「シャウト ザ・ビートルズ」

フィリップ=ノーマン著

水上はる子訳

CBS




伝記

初版
¥2200

 読みやすい伝記です。最近は確か文庫にもなっているので入手しやすいのでは? ****
6

「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク」

 上・下

ピーター=ブラウン

スティーヴン=ゲインズ著

小林宏明訳




伝記

初版
各\1500

 “伝記”ではあるが,ビートルズのすぐそばにいた人物(ピーター=ブラウン)が書いているために,“暴露本”的な性格も併せ持つ。ビートルズ上級者向き。 ***
7

「ザ・ビートルズ
 ・フォーエヴァー」

 1・2

ニコラス=シャフナー著

安田由紀子訳




伝記

初版
各\2800

 著者ニコラス=シャフナーは,ビデオ“Complete Beatles”の中にも顔を出す"ビートルズ研究家"。そのため本書も研究本の色合いが強い伝記となっている。マニアにはお勧め。 ***
8

「ジョン=レノン」

 上・下

レイ=コールマン著

岡山徹訳





伝記 2版
各\2600
 ジョンの生涯を取り扱った伝記は非常に数が多いが,本書はその中でももっともオーソドックスなものと言えよう。ファンならずとも興味をもって読みとおせる力作。 *****
9

「ジョン=レノン伝説」

 上・下

アルバート=ゴールドマン著

仙名 紀訳





伝記

初版
上\3155
下\3350

 ジョンの伝記だが,内容に伝聞や思いこみが多く,ヨーコさんは本書を非常に嫌っていると言う。確かに,ワイドショー受けするような話題が多く,誤解を恐れなければ"面白い"本である。 ***
10

「ジョン=レノン 愛と芸術」

アントニー=フォーセット著

江口大行
ジョイ=ハリソン/沢 一訳




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評伝 1977初版

\1200

 ジョンとヨーコの私設秘書のような立場の人物のジョン評伝。特に変わったところはないが,原題の“One Day At A Time”が示すように,“Mind Games”時代の,ジョンとヨーコの様子を知るには役立つ一冊。 **
11

「ビートルズ」

マーク=ハーツガード著

湯川れい子訳







伝記 1997初版

\2800

 著者が言うように,確かにビートルズ本の多くは,根拠のないゴシップをねたに書かれたりしており,"史料"的価値の低いものも多い。その意味で,本書の著者が取る"歴史研究者"として,各話題の出所をはっきりして行くという学究的な姿勢には共感を覚える。ただ,多くをマーク=ルイソン氏の研究に負っており,著者自身がアビーロードで確認したテープからの聞き取りネタ,があるとはいえ,特に目新しい話題はない。 ***
12

「イエスタデイ
 ポール・マッカートニー
 その愛と真実

チェット=フリッポ著

柴田京子訳




伝記 1989初版

\1845

 ポールの評伝は,彼の性格上,ジョンのものに比べるとずっと数が少ないが,最近では本国イギリスで“貴族”に叙せられたこともあって,“大物”の扱いを受けるようになり,次第にその数が増えてきた。本書はその中でも標準的な一冊。 ***
13

「ブラックバード

 ポール=マッカートニー
 の真実

ジェフリー=ジュリアノ著

伊吹徹訳





伝記 1993初版

\2816

 本書はアルバート=ゴールドマンのジョン伝記に似た,“ワイドショー”的なポールの伝記。実はマッカートニー家はリンダさんによって仕切られており,彼女は独裁的な権力を持って,ポールやデニー=レインの上に君臨した“嫌な女”であったという立場で書かれており,ポールと,生前のリンダさんは本書を毛嫌いしていたらしい。 **
14

「ポール=マッカートニー」

クリス=サルウィッチ著

向 七海訳





伝記 昭和62初版

\1800

 本書は音楽之友社から,レイ=コールマンのジョン伝と同じシリーズとして刊行されている。そのためか,内容もポールの伝記の中では一番オーソドックスなものであろう。“とりあえずポール”という人は,この本がお勧め。 *****
15

「ポール=マッカートニー

 メニー・イヤーズ
 ・フロム・ナウ」

バリー=マイルズ著

松村雄策監修

竹林正子訳








伝記 1998初版

\3000

 ポールの「自叙伝」。

 ジョンに比べてビートルズの内幕をあまり公にすることがなかった“サー=ポール”であるが,この書物では,旧知の間柄のバリー=マイルズに,かなり赤裸々に心のうちを語っている。

 面白いのは,ジョンが“自分の曲”だと言っている“In My Life”を間違いなく自分の曲であると言っていたり,ジョンの“How Do You Sleep”の詞はほとんどヨーコが書いたなどというところ。研究家泣かせの一冊でもある。

 「ジョン・レノン PLAY BOYインタビュー」とあわせて読めばビートルズの曲つくりの謎がかなり解明される。
*****
16

「ビートルズも人間だった」

デレク=テイラー著

山本安見訳




評伝 昭和52初版

\1200

 著者デレク=テーラーはアップル社の宣伝担当重役であったが先日亡くなった。本書はアップル内部にいた人物がビートルズの末期の姿を暴露本的に描いた逸品。ビートルズ以外のアーティストたちの話題も豊富なので,60年代音楽ファンには結構楽しめるかも。 ***
17

「素顔のジョン=レノン

 瓦解へのプレリュード」

シンシア=レノン著

江口大行
シャーロット=デューク訳




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評伝 1979初版

81 2版

\980

 著者の名前を見れば一目瞭然。ジョンの最初の妻で,ジュリアンの母,シンシアの手記。そのため,もちろん自分に都合の悪い話は書かれていないが,直接の関係者の証言であるため,貴重であることは間違いない。 **
18

「回想するジョン・レノン」

片岡義男訳

インタビュー 1972初版

80

新版11刷

\1500

 旧題は「ジョン=レノン革命」という奇妙なものであった。70年代初頭のジョンの肉声が聞けるという意味では,非常に重要な一冊。ただし,ジョンはその記憶力には問題があり,思い込みの激しい男であるので,自分で話しているからといってすべてが真実であるとは限らない。 *****
19

「ジョン・レノン

 PLAY BOYインタビュー」

PLAY BOY編集部編集

水上峰雄訳



インタビュー 1981初版

同2版
\680
 こちらは死の直前のインタビュー。

 40歳になり,うまく“枯れて”きたジョンの回想であるため,時がたっているとはいえ,むしろ「回想するジョン・レノン」よりも真実を語っているかもしれない。

 しかし,彼の証言の中で最も重要なのは,ビートルズ(Lennon-McCartney)の曲の中で,“どの曲がどのくらい自分のものか”-つまり,“Lennon-McCartney”とクレジットされていても,実際に共作された曲は非常に少ないというのは周知の事実であるのだが,ジョン自身はそれぞれの曲で,どのくらい自分が関わっているかを正直に語っている。

 特に“All My Loving”を「悔しいけれどポールの曲だ。だけどバックで思い入れたっぷりのギターを弾いているのは俺」というような正直な気持ちが聞けて面白い。
*****
20

「ザ・ビートルズ・レポート」

竹中労編著

五木寛之他

音楽ジャーナリスト共同執筆




ルポルタージュ 昭和57初版

\980

 著者の竹中氏はジャーナリスト。ビートルズの日本公演の時の混乱を,ルポルタージュの形式で見事にまとめあげている。当時のビートルズ狂奏曲がどのようなものであったか,日本の若者は,学校は,マスコミは,政府は,どのように対応したのかを知る価値ある一冊。研究者必読。 *****
21

「ビートルズ大百科」

ネヴィル=スタナード著

パンプキン=エディターズ訳

CBS




資料集 1983初版

\1500

 「アンソロジー」の時代になり,データはもうかなり古くなってしまったが,ちょっとビートルズのことを調べるときに便利なのがこの一冊。 **
22

「もっとビートルズ」

香月利一著



オムニバス 1992初版

95
5版

\951

 著者香月利一氏は,日本を代表する“ビートルズ研究家”。しかし,文章中には奇妙で時には下品と受け取られても仕方がないギャグやジョークが多く,その意味でやや研究家としての“権威”が損なわれている。

 ともあれ,本書はビートルズに関するありとあらゆることを扱ったオムニバス本だが,曲中に登場する,実在の歴史上の人物を特集したり,私も本書には大いにインスパイアされた。
****
23

「ビートルズ全曲解説」

ティム=ライリー著

岡山徹訳




評論 1990初版

\2136

 原題“Tell Me Why”。ビートルズのことは,ゴシップや関係者の嘘か真か分からぬ証言からではなく,彼ら自身の楽曲を通してのみ知ることが可能である-という立場から書かれた大著。

 彼らの曲の一曲一曲に,音楽的というよりはむしろ"文化的"といった方がよい詳細な解説が加えられている。

 “Please Please Me”を,“世界初のオーラルセックスの歌”であると,物議をかもすような内容もあるが,私がビートルズの曲のことを研究するとき,真っ先に当たる第一資料である。

 初心者には読みづらいかもしれないが,常にそばに置いておきたい一冊である。
*****
24

音楽の手帳

 「ビートルズ」

 

オムニバス \980  ジョンの死の直後雨後のタケノコ式に登場した,ジョン関係の本の一冊。

 著名人が語るジョンの思い出などが中心で,史料的価値はほとんどないが,中に所々興味を引かれる個所がある。

 たとえば,エルヴィスの“ブルー・ハワイ”での復活をビートルズのアメリカ征服のアンチテーゼであったとし,カリスマ不在の米国民を鼓舞する米国政府の意図を指摘するところなどは非凡である。
***
25

「ビートルソングス研究読本」

香月利一著


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歌詞研究 1998初版

\1900

 私のページ「ビートルズを100倍楽しむ方法-ビートルズと英国文化 」と同じコンセプトで書かれた研究史料本。本の帯には「目からウロコが落ちる」と書いてあるが,確かに,目新しい研究成果も多い。その意味では,ビートルズ研究家必携の一冊。

 ただ,麻薬やセックスに関するスラング関係の記述においては,“そこまで言っていいのかなぁ…”という気が多少するのも事実。著者独特の,ちょっとはずした品のないギャグがそれを増幅してしまった観がある。しかし,一度は読んでみる価値あり。
*****
26 「WORDS ARE FLOWING OUT」 アラン=ジョン=マーフィー著

荒 礼子訳

ビートルズ研究特集

9号臨時増刊号

BCC

歌詞研究 1984

\800

 かつてのビートルズ・シネ・クラブ(現ザ・ビートルズ・クラブ)の会報の特集別冊として発行されたのが本書。したがって,もう一般には入手困難であると思われる。内容は,これもまた「ビートルズを100倍楽しむ方法-ビートルズと英国文化 」と同じコンセプトで書かれているが,やはり英語ネイティヴの人物の著作だけに,内容に非常に説得力がある。ぜひ,一般書として発売してもらいたい。 *****
27

「ザ・ビートルズ

 ・インターネット
 ・ガイド」

佐藤純弘著

資料集 1996初版

\1700

 佐藤純弘(よしひろ)氏は若いが非常に博学なビートルズ研究家。日本でもっとも完備したビートルズページ Hiro Satou's The Beatles WWW Pageの主催者でもある。

 本書は,彼が1996年現在で収集したビートルズに関するWebページを解説した力作。私のページも紹介してくださっている。(^O^)

 ただし,Webページは“ナマモノ”なので,そろそろ改訂版が欲しいところ。
****
28

「ビートルズの社会学」
朝日新聞社編



オムニバス 1996初版

\544

 文庫本なので入手しやすい。内容は,日本の著名人たちが「自分にとってのビートルズ」を語ったものであり,研究史料的価値は少ない。

 ひとつ気になるのは,初版本においては一部に事実関係の錯誤が余りに多く目を覆いたくなるばかりであった。そのため、私も朝日新聞社に錯誤個所の訂正を求めたところ,「次回版より訂正したい」とのお返事をいただいた。現在はどうなっているだろうか?
*
29

「ジョン・レノン

 いちご畑よ、永遠に」

ヴィック=ガルバリーニ

ブライアン=カルマン

バーバラ=グロウスターク著

中江昌彦訳






伝記 1981初版

\1500

 これもジョンの死後出版された“タケノコ本”。

 特に変わったところなし。ただ,1979年5月のNews Week誌のインタビューが掲載されているのは貴重。
**
30

「永遠のビートルズ」

ビートルズ研究会編




写真集 1975初版

\1300

 ただの写真集。簡単なディスコグラフィ,曲解説,年表,エッセイ等付属。 **
31

「ビートルズ神話を剥ぐ」

リチャード=ディレロ著

庄司英樹訳





評伝 1974初版

\1800

 著者リチャード=ディレロは,元アップルのアルバイター。内部告発の形でアップル内部の大混乱を語っている。

 そこに語られるのは,金銭感覚が欠如し,大言壮語し,自分勝手な,4人の“裸の王様”の姿であるが,著者自身それほど長くアップルに勤めていたわけでもなく,メンバーたちと個人的に付き合っていたわけでもないので,話は少々マユツバ的なところもあるか?

 しかし,原題の“The Longest Cocktail Party”は,当時のアップルの状態を表す秀逸な表現。
*
32

「ビートルズエピソード550」

香月利一著


資料集 1978初版

86 10版
\980
 香月利一氏による“ビートルズこぼれ話集”知っていると,ファンの間では博学視され,一般の方々からは煙たがられるような内容満載。ファンなら,一度は目を通してみては? **
33

「ジョン・レノン

 1940-1980」

北山修ほか著



オムニバス 1981初版

\1500

 “タケノコ本”のひとつ。著名人のジョンの思い出などが中心で,ジョンの死のブームに乗り遅れまいと,慌ててつくった観あり。

 しかし,内容はなかなか充実しており,特にジョンとヨーコが死の直前に応じたインタビューは価値がある。

 また,ジョン作の小話集“A Spaniard In The Works”が収録されているのはありがたい。

****
34

「ビートルズの不思議な旅」

ピーター=マックェイヴ

ロバート=D=ショーンフェルド著

深町真理子/永井淳訳



伝記 1973初版

\890

 原題は“Apple To The Core”(「林檎の芯まで」)英語で書かれたビートルズ本の原題には,思わずニヤっとするものが多いが,これが翻訳されると,まったくつまらない書名になる。(もっとも「林檎の芯まで」では,何の事か分からず買ってもらえないだろうが…)

 特にビートルズ後半期に関する解散の原因などを考えようとする伝記。
**
35

「ザ・ビートルズ

 ・フォーエヴァー」

ビートルズ・シネ・クラブ編

オムニバス 昭和57初版

\1980

 受験産業の雄,旺文社が出版したビートルズ本ということで,出版当時は結構話題になった。

 mook(ムック=書籍と雑誌の中間形態)という扱いだが,内容は"写真集付きビートルズ百科事典"という感じか。

 解散後のメンバーの状況についてもかなり詳しい年表が用意されているので,私も常に手許に置いている一冊。
****
36

「ビートルズ現役時代」

ミュージック・ライフ復刻


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資料集 1987初版

\1600

 「ミュージックライフ」といえば70年代には泣く子も黙るロック専門誌。当時の編集長の星加ルミ子氏は,確か日本人として初めてビートルズにインタビューした人物。

 本書は,何の編集も加えずに,ビートルズのデビューから解散までの,ミュージックライフに掲載された関連記事をそのまま採録したもの。

 研究者にとっては,このような第一史料は非常にありがたい。
***
37

「ビートルズの軌跡」

ミュージック・ライフ編


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オムニバス 1972初版

80 9版
\950
 伝記か音楽解説か感想文集か…性格のはっきりしない一冊。現在のジャニーズ本のような位置付けか?とりあえずB4のインタビューがある。 *
38 「ビートルズサウンド」   CBS




音楽研究 昭和54初版

57 14版
\1500
 ビートルズの音楽を,純粋に音楽的に考察した一冊。

 私のような音楽的才能を欠いた者には分かりづらいことも多いが,それなりに興味深く読むことができる。

 ただ,ポールのピアノプレイと曲創りに関して,それをポールが“左利き”であったことを第一義的な理由として説明するなど,多少観念的なところもある。
****
39

「ビートルズ事典」

香月利一著


資料集 1974初版

82 20版
\2500
 言わずと知れた,日本におけるビートルズ研究の古典である。

 ここでは,著者特有のあの悪ふざけはみられず,内容は格調高い。

 現在では,内容の古臭さは否めないが,それでもやはり,正確な記述とデータの収集には敬意を表する。ビートルズファン必携の一冊。
*****
40

「誰がジョン・レノンを殺したか」

フェントン=ブレスラー著

島田三蔵訳





その他研究 1990

初版

\1359

 ジョン=レノンCIA暗殺説。当時流布された説であるが,本書を読めば,それがまったくの真実に思われてしまうから,著者の情報収集能力と,筆力には感服する。しかし,やっぱりねぇ…。 ***
41

週刊マーダーケースブック

「ジョン・レノン」

 






その他    1995年12月05日(10)号

 最近はやりの“週間百科”の一冊。犯罪を科学するというシリーズであるが,はっきり言って悪趣味。
*
42

「ビートルズで英語を学ぼう」

林 育男



教育書 ¥469
(税込)
 中学生向き英語解説書。“from me to you”とか,皆さんもビートルズで英語を勉強しませんでしたか? **
43

「ウィズ・ザ・ビートルズ」

 その青春の日々

 未公開写真集 

デゾ=ホフマン撮影


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写真集 1983

初版

\1800

 ビートルズ初期の“公式写真家”であったデゾ=ホフマン撮影の写真だけに,非常に貴重な写真が満載されている。また,写真についている解説の文章も的を得たものが多く,楽しい写真集になっている。 ****
44

「ビートルズをつくった男」

-ブライアン=エプスタイン- 

レイ=コールマン著

林田ひめじ訳




伝記 1992

初版

\768

 言わずと知れたビートルズのマネージャー,ブライアン=エプスタインの伝記。

 ユダヤ人でホモ=セクシャルという非常にマージナルな存在である彼が,幾多の挫折を通じてビートルズと出会い,彼らに心血を注ぎ,そして,突然の死を迎えるまでを,克明に描く名作。ビートルズのマネージャーとしてだけでなく,ひとりの人物伝としても十分読ませる内容を持つ。

 文庫本で廉価でもあり,求めやすい。必読。
*****
45

「ビートルズ音楽論」

-音楽学的視点から- 

田村和紀夫著


研究書 1999

初版

\3000
(税別)

 ビートルズの曲について「音楽理論」から解説した書。

 大変興味深い記述を含むが,何せ難解。オスティナート?,クリシェ?,ドッペルドミナント???…うーん分からん…。相当ビートルズの曲に精通していないと読みこなせないかも?
**
46

「ビートルズと60年代」 

イアン=マクドナルド著

奥田祐士訳






研究書 1996

初版

\4175
(税別)

 「23」の「ビートルズ全曲解説」にも通ずるところがある楽曲の全曲解説書。

 内容的には悪くなく,上手にまとめてあると思うが,いかんせん翻訳が最悪。何を言っているのかわからない日本語が多く,きっと英語ではこう書いてあるんだろうなぁ・・・と想像しながら読んだ。(-_-) 原書を手に入れて読んだ方が分かりやすいかもしれない。

***
47

「ビートルズ」

20世紀文化としてのロック 

和久井光司著






研究書 2001

第3刷

\1800
(税別)

 「20世紀文化としてのロック」という副題が示すように,ロックを文化としてとらえた秀逸な一冊。私がこのサイトで目指そうとしていることと相通じるところがあるため,共感を持って読むことができた。

 私がビートルズのことを本に書くとしても,基本的にはこのようなスタンスになるのではないかと感じさせてくれた。ただ,著者の和久井光司氏は自らがミュージシャンということもあって,そのアプローチは「文化」よりは「音楽論」に流れがち。私としてはもう少し「文化論」を掘り下げてもらいたいと考えるのは酷か。

 本書の内容は,*ビートルズおよびロック音楽の歴史,*ディスコグラフィー,*音楽技術論,*ビートルズ人脈 等々非常に多岐にわたるが,本書の性格上やむをえないこととはいえ多少散漫さを感じることは否めない。(「ホワイト・アルバム」を聴いているような感じ!)しかし,優れた書物であることは間違いない。
*****
48
「ザ・ビートルズ・アンソロジー」 
ビートルズ+関係者著









自叙伝 2000

第1版第1刷

\6800
(税別)

 買って丸3年。あまりにも重厚長大な書籍であるため,簡単に持ち運びもできずやっとの思いで読み終わった。内容はすばらしいが体裁を何とかしてほしかった。

 さて,ビートルズの4人+ニール=アスピノールやジョージ=マーティンやブライアン=エプスタイン等々,彼ら自身や実際に彼らの身近にいた人たちがリレー形式で綴った自伝だけに,その持つ意味は重い。長年の解釈の問題や事実確認に終止符を打ったのではないかというような事実も出てきた。本気でビートルズのことを考えるのなら,やはり一冊は家に置いておきたい。

 ただ,価格もそうだが持ち運びが不便であるし,本棚から出しっぱなしにもできないので,ちょっと時間があるときに読む・・・というのは無理。書斎に引きこもってそれなりの「覚悟」を決めて読み始めなければならない。その意味では厄介な本である。しかし,これまであげた書籍の中で最も重要な一冊であることは間違いないだろう。
*****
49
「ビートルズ・サウンドを創った男―耳こそはすべて 」 
ジョージ=マーティン著

吉成伸幸・一色真由美訳

文庫本版もあり






自叙伝 \2940
(税込)
 ご存知ビートルズの音楽プロデューサー,ジョージ=マーティン氏の自叙伝。

 自らの「音楽プロデューサー」としてのキャリアを克明に報告してくれている。しかし,どうもこの人は音楽ほど文章は上手ではないようだ。ビートルズについて書かれていることは決して多くはなく,話はあちらこちらに飛び交い全体に散漫な印象を与えてしまっている。

 どちらかというと「音楽ビジネス書」といったらいいだろうか。

***
50

「KAWADE夢ムック 文藝別冊

総特集ポール・マッカートニー 世紀を越えた音楽家」 

財津和夫,来生えつこ 他




オムニバス 2001.6.30

第1版第1刷

\1143
(税別)

 著名音楽家へのインタビューや対談,コラムなどからなる“ムック”(Magazine+Book)。

 ところどころに,質の高い音楽評論を含むが,全体的には雑誌の記事をまとめ直したという程度のもの。ただ,20世紀全て分のディスコグラフィーがあるのはありがたい。
***
51

「ビートルズの謎」 

中山健樹





研究書 2008.11.20

第1刷

\760
(税別)

 著者は元「スイング・ジャーナル」編集長の音楽評論家。

 “リヴォルヴァー”のタイトルがついた理由。“ホワイト・アルバム”の通し番号の秘密など様々なビートルズの謎を解き明かし,あるいは解き明かそうとしており,非常に興味深く読むことが出来る。特に“レイモンド=ジョーンズは実在した!”という話には衝撃を受けた。

 しかし,“〜かもしれない”,“〜とも考えられる”,“〜であったのではなかろうか?”など類推が多く,その真偽については確証がもてるものではない。 
**
52 「ビートルズのビジネス戦略」  武田知弘 祥伝社新書 研究書 2011.7.10

初版第1刷

\780
(税別)

 著者は元大蔵官僚。1967年生まれと言うことなので,完全な“ポスト・ビートルズ”世代で,私よりも7歳ほど若い。

 ビートルズを音楽よりもそのビジネス面でとらえたところには斬新性がある。ビートルズとAKB48の共通点を指摘したり,ビートルズビジネスにおけるユダヤ人実業家の貢献について述べたりするなど興味深い指摘は多い。ビートルズ解散の原因を「税金対策」とするところなどは実におもしろい。しかし,いわゆる“普通の”ビートルズ論になると,とたんに「・・・であったのではないだろうか?」とか「・・・と思われる。」という記述が増えてきて,“素人っぽさ”が出てきてしまうのは残念。
**
53

 

「ザ・ビートルズ大画報
A Hard Day's Write」
 

スティーヴ=ターナー著

奥田祐士訳









研究書 1995.4.28

初版第1刷

\3500
(税込)

 著者はローリング・ストーン誌やニュー・ミュージカルエクスプレス誌に寄稿している音楽ジャーナリスト兼伝記作家。

 内容はいわゆる“謎解き本”。しかし,非常に丁寧な取材に基づき記述されており,“証拠写真”も豊富なため信頼性は高い。"Ob La Di, Ob La Da"や"She's Leaving Home"などのエピソードについては,ビートルズファンなら絶対に知っておかなければならない“歴史”であろう。

 ファン必携の書であるだけでなく,私にとってはバイブルの一つとなる書物になるであろう。もっと早く読んでおけば,本サイトの内容もさらに深まったことと思う。3500円は高くない。
*****
54

「ビートルズ・ファンタジー」
 
ラリー=カーワン著

安藤 由紀子 訳

扶桑社 小説 2005.12.

初版第1刷

\1890
(税別)

 ビートルズが「デビュー直前にジョンのワガママによって解散していたら一体どうなっていたか」という空想妄想小説。
 ジョンは飲んだくれ,ポールは流行歌手,ジョージは聖職者,リンゴはヒモ(笑い)というのだから,さもありなん!
 ま,ちょっとした暇つぶしにはいいんじゃないですか?
**
55

「ザ・ビートルズ・サウンド
 最後の真実 <新装版>」
 
ジェフ=エメリック
 ハワード・マッセイ著

奥田 祐士 訳

白夜書房 自叙伝 2009.9.9

新装版

\3800
(税別)

 ビートルズのレコーディングエンジニアとしてのみならず,ポールの名作「Band On The Run」等のレコーディングを行い,サージェント・ペパーのエンジニアとしてグラミー賞を獲得したジェフ=エメリックの自叙伝。
 B4のレコーディングを一番近いところで見守っていただけあって,今まで知ることが困難であったレコーディングスタジオ内部の様子が生き生きと伝わってくる一冊。
 しかし,解散後のポールとの親密な関係からも分かるように,完全に「ポール派」の記述が多い。「天才ポール」に対して「狂気のジョン」「愚鈍なジョージ」「ただのいい人リンゴ」「ええかっこしいのジョージ=マーティン」の姿が描かれているのは,ポール以外のメンバーのファンには複雑な読後感を残すであろう。
 しかし,とにかく貴重な記録であることは間違いない。ビートルズファンなら必ず読んでおきたい一冊!
 蛇足だが,当時のイギリス労働者階級の就活事情が詳しく分かるのもおもしろい。
*****
56

「ザ・ビートルズ人物大事典
(日経BPムック) 」
 
大人のロック 編集 日経BP社 資料集 2012.11.19

1800円
(税別)

 ビートルズに関係した人物の「百科事典」。ただ、牽強付会にあまり関係なさそうな人物も登場する。
 手元に一冊置いておくと、調べ物をするときに便利。ただ、読んで面白い書物ではないので、コアなファンや研究者向き。
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57

「ビジュアル版 ザ・ビートルズ全史
(日経BPムック) 」
 
大人のロック!編集部 著 日経BP社 資料集 2015.1.29

1600円
(税別)

 前述の「ザ・ビートルズ人物大事典」とどうシリーズのムックであるが、こちらは読み物としてなかなか面白い。
珍しい写真も多く、ビートルズのCDをすべて手に入れて、次の段階に進みたいレベルのファンに最適。
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58

「ビートルズは音楽を超える
(平凡社新書) 」
 
武藤浩史 著 平凡社 研究書 2013.7.12

初版第1刷

780円
(税別)

 著者は慶應義塾大学の“英文学”の教授。自ら“音楽の門外漢”と言うだけあって、音楽の話はほとんど出てこない。多少牽強付会気味のところはあるものの、ビートルズの出自とその文化的立ち居地を、一貫して「ミドル・ブラウ」というキーワードで説明し、彼らの魅力を「つながる孤高」(不ぞろいの統一性の魅力)で表現する。
 目新しい話題は少ないが、ビートルズとその楽曲を文化史的な視点で解説することにより、今までになかったようなビートルズ論になっている。いわば私のこのサイトを「ハイ・ブラウ」にしたようなものか。(笑)。
 彼らの音楽だけに興味がある人には無意味な本かもしれないが、新しい本でもあるし、“ビートルズ的教養”を求める方には一読をお勧めする。
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59

「ビートルズを聴こう 公式録音全213曲完全ガイド」 
里中哲彦・遠山修司 著 中央公論新社 研究書 2015.5.30

再版

880円
(税別)

 実は、まったく期待せずに読み始めた。どうせビートルズファンのおっさんがぐだぐだ「自分にとってのビートルズ」を語り倒すのだろう...。
 ところがいい意味で完全に期待を裏切られた。
 内容は音楽の専門家と英語の専門家がビートルズについての薀蓄を語り合うと?うものだが、これが意外とすばらしく、途中からは時がたつのを忘れて読みふけってしまった。新しく聞く情報も非常に多く、これはファン必読の書のひとつであろうと確信した。
 たとえば"Can't buy me love"という表現は、直訳すると「僕には愛は買えない」のような奇妙な意味になってしまうが、リバプール方言では往々にして「my」を「me」と言うという。つまり標準的な英語で言うならばこの一節は"(I) can't buy my love."であり、「僕は自分の愛を金では買えない」という、至極当たり前の意味になるというのだ。
 この他にも「目からウロコ」の話が大量に語られる。まさに今必読の一冊と言うことができるだろう。
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60

「ポール・マッカートニー 告白」 
ポール・デュ・ノイヤー 著

奥田祐士 訳

DU BOOKS インタビュー 2016.6.18

初版

3000円
(税別)

 著者はNME誌等で長年ポールを取材してきた音楽ジャーナリスト。内容自体にそう目新しさはないのだが、時間軸ではなくテーマ別に様々な時代のインタビューを再編集したところに新しみがある。何よりもうれしいのは2016年までの情報が記載されているところ。まさに最新情報! ****
61

「読みつぐビートルズ」 
小林順 編

大坂秀樹 他 著

萌書房 知識人インタビュー等 2018.5

初版

1800円
(税別)

 編者は「ビートルズ研究会」を主宰する、京都のノートルダム女子大学英文学教授の小林順氏。氏の各界知識人へのインタビューを中心にまとめてある。不肖私も、「高等学校教育とビートルズ」についてコラムを書かせていただいた。
 内容は多少まとまりがないが、いわばビートルズ書籍界の「ホワイト・アルバム」(笑)。様々な角度から、ビートルズに関する英知を集めたという意味では貴重な書。
 私も著者の一人なので、★5つ!と行きたいところだが、「京都とビートズル」というテーマにこだわりが強く、京都以外の読者の気持ちを汲んで、星を一つ減じたい。
 ちなみに、私は原稿料も印税も0円であることはお知りおき願いたい。(笑) 
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62


「ビートルズ史 誕生(上)(下)」 
マーク・ルイソン 著
吉野由樹,山川真理,松田ようこ 訳
河出書房新社 研究書 2016.12.1

初版

4900円
(税別)

 言わずと知れたビートル研究の第一人者、マーク=ルイソン氏畢生の大作。前6冊の予定で、まだ最初の2冊しか出ていないというのだからその規模の大きさが知れる。次々に新事実が明かされ、息をつく間もない。それまで「ビートルズ史」の“常識”だと思われていたことが次々に覆る。例を上げれば、“Love Me Doが全英チャート17位まで上昇したのはNEMS(ブライアン=エプスタイン経営のレコード店)による買い占めの結果”という“常識”は、“ことリヴァプールではビートルズの人気はデビュー前から圧倒的で、リヴァプールのファンたちはレコードが発売されると競って購入した”という“事実”によって覆される。私個人としては“ポールが徹底的な無神論者であった”という事実に驚愕させられた。
 全部揃えればかなり出費を強いられるのだが、ビートルズが好きと口にするものは、必ず読まなければならない使命を帯びているといっても過言ではない。次回刊行が待ち望まれる。
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63

「ビートルズ」 
北中正和 著 新潮社 新潮新書 研究書 2021.9.17

初版

780円
(税別)

 大御所、北中正和氏の最新本。
 「ビートルズの歴史」ではなく、「歴史の中のビートルズ」というべき内容。音楽評論家だと思っていた北中氏であるが、これほどまでに見事な「歴史書」を書くことができる人物とは思っていなかった。脱帽
 ここに描かれるのはビートルズを中心とした壮大な「世界史」である。見事な内容であるが、「ビートルズ」の事だけが書かれていると思って読むと、少し困惑するかもしれない。私は歴史の専門教育を受けたものであるので、違和感はなかったが、それ以外の読者はしばしば手が止まるかもしれない。ということで、星は一つ減ずるが、内容は素晴らしい。
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