エドガー=アラン=ポー（Edgar Alan Poe,1809〜49）

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　アメリカの詩人・作家。

　ボストンで旅役者を両親に生まれ，2歳で孤児となり，リッチモンドのタバコ商アランの養子となった。養父母とイギリスに渡って教育を受け（1815〜20），帰国後にヴァージニア大学に入学したが（26），賭博に身をもちくずして中途退学，養父母とも別れた。軍務についたのち陸軍士官学校に入学（30）優秀な成績であったが，規律に反発して退学処分を受けた（31）。これより先，詩集や小説を発表していたが，『瓶の中からの手記』が賞金を得て（33）ようやく作家への道が開けた14歳の従姉妹と結婚（36），飲酒癖と誇大妄想に取りつかれた放浪と貧困の生活ながら，妻との間にかりそめの幸福を味わったが，妻の死（47）後は放埒に日を暮らして短い生涯を閉じた。しかし，結婚以後の年月の中で世界文学史上に特異な地位を占める諸作品を生み，フランス象徴主義文学を初め，世界文学に与えた影響の大きさではアメリカの作家中屈指とされる。

　主要な作品は，長編小説『アーサー=ゴードン=ピム物語』，怪奇と幻想に彩られた短編小説『アッシャー家の崩壊』『黒猫』，名探偵オーギュスト=デュパンの活躍する“世界初”の推理小説『モルグ街の殺人』『盗まれた手紙』『黄金虫』『マリ=ロジェの怪事件』，叙情詩『アナベル=リー』『大鴉』，散文詩『沈黙』，詩論『詩の原理』，評論『チャールズ=ディケンズ』などがある。日本の怪奇・幻想／推理小説家，江戸川乱歩は，この人物にちなむペンネーム。